欲望欲望限りなき欲望の中に 私もまたいる 金と力と地位と名声と 心を燃やす恋 誰にも劣らぬ私としての存在 全ての制約から解き放された自由 人間の欲望とは 限りないものであろうか 足ることを知らぬ人間の前に 母なる海は 汚れ 父なる大地は 傷ついた そして なおも欲望は限りない 欲望とは 人間の必然か それとも 人間の生み出した その社会という悪霊のなせる業か 労働は 果たして善であったか 欲望のままに生きる人間の 得るものは 果たして何か 万人の幸福か 疑いなき安らぎか ゆるぎなき信頼か 平等なる権利か 科学は 次々に自然のベールをはぎ 我々は 自然の謎を知った 科学の生み出した力は 自然をコントロールできるように なりつつある やがて 人間は この地球を破壊し得るだけの力さえ 持つようになるだろう しかし 我々は 一体何を得ただろう (1975.3) |